こんにちは、ハルです。
今回は旅行記ではなく、旅行に使うきっぷの話です。前回書いた青春18きっぷの改悪に関する記事の続きです。(↓)
さて旅行をしていると現地の人と話したり、同じく旅行を楽しまれている方と話したりすることも多いです。
この前もJR北海道の深川駅で列車を待つときに、北海道の路線すべてを乗り潰しされてる年配の方と話す機会がありました。
「どのような方法で北海道を旅しているか?」
という話になったとき、私は愛用している北海道&東日本パスを出しましたが、その方はこの切符をご存じなかったようで、その効力の凄まじさに驚かれていました。ちなみにその方は青春18きっぷを使用されていました。
私としては、もちろん時と場合に応じて使い分けは必要になりますが、
東日本と北海道を旅する場合は、北海道&東日本パスをオススメします!
案外、鉄道ファンの間でも北海道&東日本パスは知名度が低いように思います。
青春18きっぷが一般の方でも知っているほどの圧倒的な知名度であるのと対照的です。
そこで今回は、私が青春18きっぷより北海道・東日本パスをおすすめする理由を説明していこうと思います。
さてこのページを見てくださっているような方には、もはや青春18きっぷに関しての基本的な話はしなくて良いと思います。
なので概要は割愛させていただきます。北海道&東日本パスの使用方法はおおむね、青春18きっぷと同様です。要するにJRの普通列車に乗り降りし放題。特急や新幹線には乗れないよ、と。
ただし細かい違いはありますので、青春18きっぷと北海道&東日本パスの違いを紹介していきます。
まずは一覧表で比較
まずはざっくり、一覧表で北海道&東日本パスと青春18きっぷの比較を行います。
北海道&東日本パス | 青春18きっぷ | |
---|---|---|
乗車できる路線 | JR北海道 JR東日本のみ | JR全線 (北海道、東日本、東海 西日本、四国、九州) |
利用日数 | 連続する7日間 | 連続する5日間 連続する3日間 ※1 |
利用期間 | 長い ※後述 | 短い ※後述 |
価格 | 11,300円 (大人) 5,660円 (子ども) | 12,050円 (5日用) 10,000円 (3日用) |
1日あたりの 価格 | 1,619円 (大人) 809円 (子ども) | 2,410円 (5日用) 3,333円 (3日用) |
複数人 での利用 | × 不可 | × 不可 ※1 |
自動改札機 の利用 | 〇 可能 | 〇 可能 |
JR以外の路線 | 一部第三セクター鉄道に 乗り降り自由 | △ 一部 通過のみ可 |
北海道新幹線 の利用 | △ 特定特急券の購入で 「新青森-新函館北斗」まで可能 | △ オプション券の購入で 「新青森-木古内」まで可能 |
それではこの表の比較をもとに、各項目を詳しく見ていきたいと思います。
北海道&東日本パスをおすすめする理由
① 安い
いきなりお金の話で申し訳ないのですが、北海道&東日本パスはとにかく安いです。
北海道&東日本パスを使うと青春18きっぷよりかなり安く旅行することが出来ます。
北海道&東日本パス : 7日分で11,330円 (1日あたり1,619円)
青春18きっぷ : 5日分で12,050円 (1回あたり2,410円)
青春18きっぷ自体がそもそも非常にお得ではあるのですが、北海道&東日本パスのお得さはさらに上回っています。ちょっと異常です。
1日あたりに換算すると1,619円ですが、この運賃でどこまで行けるか考えてみましょう。
何となく、感覚を掴んでいただけたでしょうか?
とにかく、1時間半も列車に乗っていれば、あっという間に元を取ることが出来る価格であることが分かります。さらにこれは片道なので、往復すればそれだけで2倍オトクということです。
というか正直11,330円など、1日鉄道に乗ればモトを取れてしまいます。
私も旅行中は大体1日1万円弱くらいは乗ることが多いです。ローカル線だとあまり稼げませんが……。
② 利用日数が長い
北海道&東日本パス:連続する7日間
青春18きっぷ:連続する5日間 or 3日間
北海道&東日本パスは青春18きっぷより2日長く使用できるのに、価格は安い。素晴らしいコストパフォーマンスです。
連続する7日なのでいつでも使えるという気楽さはないですが、例えば「3日旅行して帰宅・1日休息・日帰り旅行3回」などの利用も出来ますので色々と応用は効きそうです。
仮に休息日を2日挟んだ場合、つまり7日間のうち2日を使わなかったとしても、それでも青春18きっぷよりなお安いです。(11,300/5=2,266円。青春18きっぷは2,410円)
2024年冬から青春18きっぷも連続する5日間(または3日間)の利用を強制されるようになってしまいました。
これまで小分けの旅行は青春18きっぷ、ある程度まとまった期間の旅行は北海道&東日本パスと使い分けられていたのが、もはや不可能になってしまいました。青春18きっぷの存在意義が薄くなりつつあります。
③ 利用できる期間が長い
まずは北海道&東日本パスと青春18きっぷの利用期間を示した表を見てください。
北海道&東日本パス | 青春18きっぷ | |
春 | 3月1日から4月22日まで | 3月1日から4月10日まで |
夏 | 7月1日から9月30日まで | 7月20日から9月10日まで |
冬 | 12月10日から1月10日まで | 12月10日から1月10日まで |
文字に色を付けてあるところが、2つのきっぷの利用期間が違うところです。
北海道&東日本パスのほうが利用期間がずっと長いことが分かると思います。これが意外な盲点で、北海道&東日本パスのことは知っている方も、利用期間が全然違うということまではご存知でない場合があります。
特に夏は、早くから始まり遅くまで売られています。
これは夏の北海道旅行に関して非常にありがたい話で、夏の北海道が混む・夏料金で高いという点を考えれば、オンシーズンを避けて旅行できるためたいへん便利です。
実際私も2014年の9月初旬から北海道に行きました。その経験から言うと9月の北海道は人もそれほど多くないし、何よりホテルが安めでした。
普通のビジネスホテルでも5,000円台を切るホテルもありますのでかなり嬉しいです。気候的にも過ごしやすいですが、むしろ肌寒いくらいでした。
特に夏休みが長い大学生に嬉しい期間設定だと思います。
(え?理系の大学生は休みなんてない?そう……そうね)
④ 利用できる鉄道会社が豊富
ここまでで北海道&東日本パスの凄まじさを分かってもらえたかと思いますがまだ続きます。
なんと北海道&東日本パスはJR以外にも乗れます。
・北海道&東日本パス
JR北海道・JR東日本・BRT全線
青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道・北越急行・富士急行線 の各第三セクター鉄道
・青春18きっぷ
JR全線・BRT全線・JR宮島航路
北海道&東日本パスでは、青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道、北越急行といういわゆる第三セクター路線にも乗車できる。この点を大きく推したいです。
青春18きっぷではこれらの路線には乗れません。
このため青春18きっぷの利用者が、関東からスタートして北海道や青森を目指す時に盛岡以北の攻略に手間取る事態が起きています。
奥羽本線に入ったりして日本海側に迂回しようとするとたいへん時間がかかります。
かといって第三セクターを利用すると、盛岡~青森間で5,590円必要で、これは青春18きっぷ2.3日分と、かなり痛い出費となります。
むしろ東北新幹線の盛岡~新青森間の運賃が6,250円なことを考えると、3セク鉄道に乗る意味がなく、新幹線ワープが現実的になります。
しかし北海道&東日本パスなら、これらの第三セクター鉄道にも問題なく乗車できますので、そのまま旧東北本線の旅を続けられるのがとても嬉しいです。
実際に私も北海道&東日本パスを使ってIGRと青い森鉄道に乗り通しました。盛岡~青森間の5,590円が北海道&東日本パスの中に含まれていると考えれば、大変にお得な旅行が出来ました。
なお2016年3月より乗車可能路線から富士急行線が除外されました。これは非常に残念なニュースでした。私事ですが富士急行線を利用した旅行を体調不良でキャンセルした過去がありますので、このままでは一生乗る機会に恵まれそうにありません……。
⑤ 夜行急行列車に乗車可能 :古い情報です
北海道&東日本パスでは、別途急行券などを購入することで、夜行急行列車、あるいは夜行臨時快速列車に乗車できます。
かつては日本全国を走り回り栄華を極めた夜行列車。ノスタルジーを感じられるあの感触はしかし、今ではもはや絶滅寸前です。しました。
北海道&東日本パスで乗車できるた夜行列車には急行はまなすがあります。
急行はまなすは青森-札幌間を結ぶ夜行急行列車で、一年間を通して運転されており、東京~札幌間を旅行する場合など、非常に便利な存在です。
私自身も北海道&東日本パスを利用してはまなすのB寝台に乗車したことがあります。
夜に北海道を出発して、朝起きたら青森の見知らぬ地を走っている…あのえも言われぬ感触は何にも変えがたいです。
それはともかく、北海道&東日本パスを利用してはまなすに乗る場合をまとめておきます。
・自由席を利用するとき
北海道&東日本パスのほかに急行券が必要です。
参考までに、青森~札幌間の急行券は1,300円です。
・指定席を利用するとき (カーペットカー・ドリームカーは指定席扱いです)
北海道&東日本パスのほかに急行券と指定席券が必要です。
・寝台車を使用するとき
北海道&東日本パスのほかに急行券と寝台券が必要です。
参考までに、青森~札幌間で急行はまなすの寝台車(B寝台)を利用する場合、急行券(1,300円)と寝台券(6,480円)が必要です。
私などは寝台列車という響きを重視する人間なので寝台車に乗りましたが、移動の利便性を考えても青森~札幌間を普通に移動する場合、はまなす号は非常に心強い存在です。
何しろ青森から札幌まで移動しようと思えば、まず10時間。酷ければ14時間はかかります。そこをはまなす号で寝ている間に移動できるのですからこれを利用しない手はありません。
2016年3月の北海道新幹線の開業に伴い、夜行急行はまなす号は廃止されました。
ブルートレインの流れを汲むはまなす号ついに廃止。一つの時代が終わりました。本当に残念でなりません。
⑥ 北海道新幹線に乗車できる
実は北海道&東日本パスを持っていると、北海道新幹線に乗車できます。
といってもそのままではダメで、新函館北斗駅~新青森駅間の相互発着の場合に限り、別に「特定特急券」を購入すると北海道新幹線の空いている席を利用することができます。 なお、グリーン車・グランクラスは利用できません。
参考までに、この区間の特定特急券は3,930円とやや高額です。しかし青森-新函館北斗間を最短時間でワープできるのは魅力。正規運賃でこの区間を乗ろうとすると7,720円かかるので約半額!
また、北海道フリーパスではなぜか北海道新幹線に乗れないので、お得に北海道新幹線を完乗したい場合には北海道&東日本パスの利用が視野に入ってきます。
実際に私も北海道&東日本パス+特定特急券で北海道新幹線に乗ってきました。何もお願いしてないのに車掌さんが乗車記念のハンコを押してくれて嬉しかったです。
青春18きっぷ
一方青春18きっぷですが、こちらも北海道新幹線に乗車する方法はあります。
「青春18 きっぷ北海道新幹線オプション券」を購入することで、北海道新幹線に乗車できます。しかし接続ダイヤがどの程度現実的なものかは知りませんので、下手をすればこの区間の移動にはかなりの時間がかかることが予想されます。最悪の場合は青函フェリーの利用も視野に入ってきます。
2024年冬の発売分から、北海道新幹線オプション券が2,300円から4,500円に値上げされた一方で、新青森~木古内まで北海道新幹線に乗車できるようになりました。以前は奥津軽いまべつ駅から乗る必要があったので改善点ですが、何のことはない。JR東日本が津軽線の復旧を放置しているせいで、津軽二股駅にアクセスすることが困難になりつつあることへの場当たり的な措置です。
なお道南いさりび鉄道線の木古内~五稜郭まで乗車することが出来るのは以前から変更なしです。
一応接続ダイヤは考えられているのでこのルートは現実的に利用可能になりました。高いけど。
しかし北海道&東日本パスなら3,930円とお安い上に、新青森から新函館北斗まで全区間で乗車できるので、やはり北海道&東日本パスの優位性は揺らぎません。
⑦ 子ども料金の設定がある
青春18きっぷは青春という名前に反して全年齢で購入可能ですが、しかし子ども料金の設定はありません。
一方で北海道&東日本パスでは、子どもは半額の料金で購入できます。
ただでさえ安い切符が半額!!これはもう凄いの一言。
子ども用は5,660円で、1日あたりに換算すれば809円。もう実質無料みたいなものです。
親子で鉄道旅行を楽しむ場合などに大変重宝するでしょう。何ならちょっとしたお出かけにも気軽に使えそうです。
2024冬から青春18きっぷのグループ使用ができなくなったために、親子2人で1枚のきっぷを利用して旅行する、みたいなほほえましい使い方もできなくなりました。
次回からは親と子どものそれぞれがきっぷを購入する必要があります。
⑧ 自動改札を利用可能 :古い情報です
青春18きっぷは自動改札を通過できないため駅員さんにきっぷを提示する必要がありますが、北海道&東日本パスでは普通のきっぷと同じように、自動改札を利用できます。
これ、地味に嬉しいんですよね。
改札は(外国人などで)混んでいること多く、乗車する列車が迫っている場合など、出来れば利用したくありません。
早朝や深夜などに事務室の奥のほうでゴソゴソやってる駅員さんを呼び出すのも申し訳ないですし。
もっとも北海道では自動改札どころか駅員すらいない駅ばかりですけどね。
私も始発のJR宮崎駅(自動改札)で駅員さんが居らず、改札を強引に突破したことがありました。い、いやあれは駅員さんが居なかったから仕方なくてですね……ゴニョゴニョ
青春18きっぷも自動改札機を利用可能になりました。これは唯一の改善ポイントで評価してよいと思います。
青春18きっぷの改悪で北海道&東日本パスとの差が無くなりつつある
2024年10月24日のJRの発表で、2024冬の発売分から青春18きっぷが大きく改悪されることになってしまいました。
具体的には3日間用のきっぷが設定される一方で、連続日での使用が強制され、グループ利用は出来なくなります。
これまでは青春18きっぷと北海道&東日本パスは得意分野が違うので自分の予定の都合と旅先に合わせていい感じに使い分け出来ていたのですが、青春18きっぷのメリットがどんどん失われつつあります。
正直、北海道と東日本を旅行するなら青春18きっぷはもう選択肢に入らないといっても過言ではないと思います。北海道&東日本パスに勝る部分が一つもない。
東海以西はまだまだ利用価値がありますが、それも「ぜひとも使いたい」というものではなく、「他に選択肢が無い」という消極的なもの。うーん残念です。
両きっぷの比較は以上になります。ここまでの比較を見て頂いた通り
北海道や東日本を鉄道で旅行する場合は、青春18きっぷより北海道&東日本パスが圧倒的に便利というのが結論になります。
北海道新幹線開業によってこの切符が廃止されるのでは?と噂されていましたが、無事廃止を免れ、さらに北海道新幹線に乗車できる特例まで付きました。
これらのお得なきっぷを利用しつつ、楽しい鉄道旅行をしていきたいですね。
それではまた。ご覧いただきありがとうございました!
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