こんにちは、ハルです。
今回は映画の話です。
最近、2025年のAmazonのプライムデーセールが始まったことで久しぶりにアマプラ会員に登録しました。ご存知の通りアマプラ会員は月額600円で様々な映画やアニメが見放題になる神サービス。
面白そうな映画が無いかなと思って探していたら、かの戦争映画の名作『二百三高地』を発見して、視聴した感想をご紹介します。名作なのは間違いないですが恐ろしい虚無感と絶望感でした。
現在(20250717)、Amazonプライム会員ならプライムビデオで無料で何度でも視聴し放題です。ぜひ見ていただきたい映画です。→二百三高地
名作『二百三高地』とは
『二百三高地』は1980年に公開された日本映画です。(以下203高地)
203高地という名前でピンと来る勘の良い方も多いでしょうが、1904年-1905年の日露戦争を描いた戦争映画です。
1980年公開、実に45年前のめちゃくちゃ古い映画なのに今でも視聴に耐えるどころか見ごたえのある映画でした。
日露戦争の旅順攻囲戦における、203高地の日露両軍の血みどろの一大攻防戦を描いた作品。第三軍の司令官・乃木希典を中心とし、大局(戦闘、戦争)の推移が描かれる。
その一方で、第三軍に予備役で徴兵された民間人を通じ、前線で戦う一兵卒の惨状、戦況に一喜一憂する庶民の姿、戦争の悲惨さも描写されている
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E7%99%BE%E4%B8%89%E9%AB%98%E5%9C%B0

日露戦争と言えば帝政ロシアのバルト海艦隊(バルチック艦隊)を、日本海軍の戦艦三笠率いる連合艦隊が一方的にボコボコに撃滅した日本海海戦が有名です。
しかし実際には、海戦はあくまで局地戦の1つであって、日露戦争の主戦場は遼東半島・満州でした。大陸では日本陸軍が血みどろの戦いを繰り広げておりました。この映画はその陸上戦を描いています。
ちなみに上の写真は私が現地に行って撮影した横須賀市の三笠公園にある「戦艦 三笠」ですが、
実はこれ、レプリカではなく本物(!!!)です。
本物です。大事なことなのでry

艦橋の上にある戦闘指揮所(?)から見た艦首方向です。30.5cm連装砲がデカい。
東郷平八郎が実際に立った場所に私も立っています。
この戦艦三笠が120年ほど前は実際に動いていて、ロシア艦隊とドンパチやっておりました。よくぞ令和の世まで生き残ったと言うほかありません。アメリカ軍に破壊されなくてよかった。
では以下より映画を見た感想を書きなぐっていきます。
司令部の無謀・無策・無駄・無知・無能
この映画、全編の3~4割くらいは日本軍がロシア軍の要塞陣地に生身で突撃して何の成果も無く駆逐される映像が流されます。いや誇張でなく本当に何度も何度も突撃しては全滅します。
本当に疑問なのですが、機関銃とコンクリートでガチガチに固められた要塞に対して、小銃と銃剣だけで突撃をして一体何の意味があるのでしょう。
恐ろしいのはこれがフィクションではなく紛れもない現実というところ。
旅順攻囲戦の死傷者は、死者16,000人。負傷者45,000人。合わせて61,000人。
まだ、決死の突撃で相手を倒せる公算があるとか、倒せないまでも次につながるとか、そういう事情があるなら決死隊もやむを得ないと思うのですが、現実は本当に「何の成果も得られない」です。
機関銃に対して順次突撃して、なぎ倒されて、ハイ終わり。次の方~なぎ倒されて終わり。また次の方~……。
あんまりにも突破出来ないので決死隊である精鋭の白襷隊(しろだすき隊)が編成されるも、敵味方識別のための白いタスキがサーチライトで目立って狙い撃ちにされて全滅とか、もうギャグとしか思えません。
これが現実で起こった事とは信じたくありません。
戦死者1人1人には親兄弟も居て、子ども時代からの歴史もあって、その人の人生があったはず。それが阿呆な命令1つで6万人も死傷したとか、狂ってるとしか思えません。
人の命の重さが軽すぎる。ここまで来ると犯罪でしょう。
そしてこの日露戦争の悲惨な戦闘から何も学ぶことをせず、40年後のアジア太平洋戦争では同じことが繰り返されます。ガダルカナル・ニューギニア・インパール・サイパン・沖縄……。
信じがたいけどリアルな戦場での両軍の交流
203高地では戦争の序盤戦で、日本軍とロシア軍の戦場での交流が描かれます。
具体的にはドンパチしたのち、現場の判断で一時的な停戦が行われます。そこで両軍の将兵が歩み寄り、タ〇コやアル〇ールを交換しあったりしていたそうです。
–当時は戦場に武士道や騎士道の精神が残っていた–
そんな字幕が表示されますが、2025年の感覚では到底信じられない光景です。
しかし第一次世界大戦のクリスマス休戦や第二次世界大戦(欧州戦線)の序盤、まやかし戦争と呼ばれる時などで、ドイツ軍とフランス・イギリス軍の兵が塹壕から出てきてお菓子を交換したり、一緒に日向ぼっこしたり、サッカーをしたりしたそうです。
う、うーん……。
実際には戦場整理と呼ばれる負傷兵の後送や埋葬等で両軍で示し合わせて一時的に停戦することはよく見られた光景のようですが、さっきまで〇し合いしていた相手と仲良くお話できますか?という。
しかし203高地の作中でも、戦争終盤にかけては両軍とも血みどろの戦いになったことでこのような交流の描写は無くなり、騙し討ちでピー-したりピー-したりする描写が出てきます。体面や人道などを取り繕う余裕がなくなってくるこのあたりの描写もリアルなのかも知れません。
あまりに救いのない主人公の小賀中尉
この映画、何人かのメインキャラクターが居ますが、主人公と言うべきはやはり小賀(こが)少尉(昇進して中尉)です。
この人物、小賀中尉はロシア語が堪能で、教会に通って「ロシア人を敬愛している」と豪語するほどのロシア好きでしたが、地獄の戦場を経験し、修羅へと変わってしまいました。
最初は人の良かった中尉もだんだん人が変わり、通訳として対面したロシア将校の態度に激怒して〇そうとしたり、軍刀と拳銃片手に要塞内に突撃して肉弾戦を繰り広げる戦闘鬼に変貌してしまいます。
最後はロシア兵と壮絶な死闘の末、相打ちになり、その生涯を憎しみのままに終えます。
あまりに救いのないストーリーで可哀想と言うしかありませんが、しかしこれが戦場の現実。
戦争は人を狂わせる。戦場の狂気の中では「捕虜への暴行を禁じる」などというのは甘っちょろい戯言に過ぎません。
私はもちろん兵役の経験も無ければ戦場に出た経験もありませんが、そのくらいのことは分かります。
無能 乃木希典は幻想?
私はこれまで
「難攻不落の要塞に対しただただ軽歩兵による正面突撃を繰り返してとんでもない数の将兵を死に追いやった乃木希典」
に対し、無能という印象しか抱いていませんでしたが、今回の映画を見て、様々な事情があったのだなと学べました。
例えば1回目の総攻撃で大失敗した後は、砲兵による砲撃戦・火力戦や坑道戦という王道の要塞攻略戦を計画するも、上層部や海軍の無茶苦茶な要求で結局生身で突撃させられたり。コロコロ攻撃主目標が変わったり。
第3軍の司令官と言っても結局は中間管理職で、上からも下からも突き上げられるという。ある意味被害者と言っても良いかと思います。
司馬遼太郎の坂の上の雲などで描かれた乃木希典と、203高地で描かれた乃木希典には大きな差があると感じました。
しかし考えてみると、大本営や政治家どもの人間関係・忖度・権力争い・しがらみによって理不尽で阿呆な命令が発せられ、その命令1つで何万もの将兵が死傷するというのは偽りない事実であり、これはアジア太平洋戦争でも繰り返され、何なら現代でもそのまま適用されるという。
もう人間、救いようがないねと絶望するしかありません。
ただしこの映画はあくまで創作であるという事を忘れてはなりません。
例えば最後のシーン、戦争終結後に乃木希典が明治天皇に対して行った報告会で、過度の心労で乃木希典が泣き崩れ、天皇が歩み寄って優しく背中をたたくというシーンですが、これは捏造です。
民衆にウケるからとして捏造されたシーンです。実際は明治天皇は無表情で聞いていただけらしい。
うーむ。小賢しい大衆ウケなど狙わず、どうせなら完全ノンフィクションとして作ってほしかったです。
少し長くなってきたので一旦、今回はここまでにします。
今回はアマプラで名作『二百三高地』を観た感想などを書き殴ってきました。
1980年の古い映画とは思えないほどの迫力で、また多くの学びを得ることのできる映画だと思いました。2025年7月17日現在、アマプラ会員なら無料で見放題なのでぜひご覧になってください。

上のリンクからAmazonプライムビデオのページに飛べます。初月は一か月の無料体験なのでまだのかたはぜひ!
それではまた。ご覧いただきありがとうございました!
コメント