こんにちは、ハルです。
今回は資産運用のお話です。
今回はタイトルの通りですが
「配当落ちで配当分の株価下落は本当に起こるのか?」
という誰しもが一度は考える素朴な疑問を実際に検証してみた、という記事になります。
なおこの記事は最低限、資産運用に関しての知識がある方向けに書いています。本当に右も左も分からないという方向けではありませんので申し訳ございませんがご了承ください。
2024年9月の配当落ちについて書いた前回の記事(↑)の2024年12月版の記事です。
基礎的な説明事項は上の記事で行っているのでそちらをご覧ください。
権利付き最終日→権利落ち日の騰落率を検証
検証には実際の株価のデータを使います。
と言っても何か証券会社の高度なソフトやスクリーニングツールを使ったわけではなく、権利付き最終日と権利落ち日の実際の株価を私がチェックしてぽちぽち手打ちしただけです。誤植がある場合がございます。先に謝っておきます。
さて結果一覧がこちら!!!
これから私が述べることはすべてこの表に書いてあります。
そのため知識のある方はこの表を見ただけで私の言いたいことをすべて完璧に理解して下さると思いますが、
一応、散布図などを使って分かりやすくご説明したいと思います。
ちなみにこの表に出てきている銘柄に一体どういう共通点があるか、勘のいいひとは気付くはずニャ……
君のような勘のいいネコは嫌いだよ
一応表の見方のご説明と記事の主題
さすがに表が細かすぎて見ずらいので表の見方の例をご紹介します。
ここでは例として皆さんお馴染み日本航空JAL(9201)の例をご紹介します。繰り返しになりますが表中の各項目の説明は前回の記事をご覧ください。
JALの例だと、最終日終値が2,539円。落ち日始値が2,524円。15円の下落は最終日終値ベースで-0.59%の騰落率になります。((2539-2524)/2539=0.00590)
優待と配当の利回りを考慮した騰落率である総合利回り騰落率は、例えばJALの例だと優待利回りが0.39%、配当利回りが1.58%なので総合利回りは1.97%。
で、終値-始値の騰落率は-0.59%ですが、総合利回りは1.97%なので、株価の値動きと利回りを総合した騰落率は+1.38%となります。
あれ?プラス、ニャ……
お気づきになられましたか
この「総合利回りを加味した騰落率」が本当にマイナスになるのか?という点の検証が、この記事の主題です。ちなみにJALの場合だと、前述の通りプラスになります。
つまり最終日の引けで買って権利落ち日の寄り付きで売るだけで1晩寝ているだけでお金が1.38%増えた、と言うことを意味します。こんなことが許されていいのか!
まずはざっくり全銘柄をグラフで概観
上で述べたような計算を、全銘柄で行った結果の表は上に乗せた通りですが、さすがに文字と数字だけでは見にくいのでまずはざっくり、グラフを使って概観をご紹介します。
上の散布図は今回検証した51銘柄の最終日終値-権利落ち日始値の株価の騰落率を示したものです。
横軸は証券コードなので深い意味はありません。
縦軸が騰落率です。中央が0%。0%という事は、終値と始値で差が無かったという事です。
y値が正の値になっている銘柄は配当落ちで値上がりした銘柄。y値が負の値になっている銘柄は配当落ちで値下がりした銘柄ということになります。
まずはざっとグラフを見て貰うと分かる通り、中心の0%よりも下にプロットされている銘柄がほとんどかと思います。つまり配当落ちで株価が下がったという事です。
2024年9月確定日の銘柄で同じ事を検証した際は権利落ちを跨いでもなお値上がりした銘柄が結構多かったのですが、今回はやや厳しい結果になりました。
ちなみに最も騰落率が良かったのは楽天グループ(4755)で、前日比+2.23%の上昇でした。権利落ちを跨いだにも拘らず、です。
最も悪かったのはジャパンクラフトホールディングス(7135)の前日比-5.63%の下落でした。
ちなみにまた後日お話しようと思いますが、私はこのジャパンクラフトHDの下落を直撃で食らいました。
……さて。涙をぬぐって、もう一歩先に進めてみましょう。
今回は権利落ちで値下がりする銘柄が多かったけれども、
「では優待と配当を加味した場合、どうなる?」
というお話です。
優待と配当の利回りを加味した配当落ちの考察
前項では「配当落ちにも拘らず値上がりした銘柄も少しはある」ということが分かりました。つまり1晩寝ているだけでお金が増えたという事です。
さて、ここで大事なことがあります。
配当落ちしたという事は「株主優待と配当金を貰う権利もゲットできた」という衝撃の事実です。
つまりですよ。寝て起きただけで値上がりしたのでお金が増えただけでなく、優待と配当金までゲットできると。こんなことが許されていいのか!!
この項では優待と配当金を加味した総合利回りを考慮した配当落ち騰落率を検証していきます。
結果がこちら!!
先ほどの散布図と見比べて貰うと明らかな通り、全体的にy値がぐっと上昇しています。
というか、ほとんどプラス圏になっています。
今回検証した51銘柄中、マイナス圏に沈んだのはわずか6銘柄だけで、
残りの45銘柄は1晩寝て起きただけでボロ儲けだったと判明しました。利益が出る確率、88%です。こんなことが許されていいのか!!!
なんだこの結果は……
ちなみに一番悪い結果になったのは北海道コカ・コーラボトリング(2573)の-2.00%という結果になりました。飲料詰め合わせセットを送ってくれます。
逆に一番良い結果になったのは、表中にあるものはオロ(3983)の+3.88%ということになりました。
オロは株主優待としてクオカード3,000円を出し、さらに配当金として1株35円を出します。総合利回りは2.74%とそこまで高くないのですが、騰落率がなぜか+1.14%ととても強かったです。
そのオロですが、終値では前日比+176円、騰落率+7.42%の爆上げを演じました。
もし権利付き最終日の始値で買い、権利落ち日の終値で売った場合、たった1日で+11.12%の大勝利案件でした。100株の場合、23,600円のリターンでした。(税引き前)
その代償として逆日歩爆弾が炸裂し、なんとびっくり1日で13,440円もついてしまいましたが……(苦笑)
まあ策を弄さず現物が大勝利ということです。
ちなみに突き抜けてしまったので表には載せていませんが、
楽天グループ(4755)の総合利回り騰落率は+13.98%
KOZOホールディングス(9973)の総合利回り騰落率は+27.78%となりました。
まあ楽天は自社サービス(楽天モバイル1年無料)なので参考値。小僧寿しは株価18円なので、1,800円の投資で500円の食事券が貰えるという訳が分からないよ状態です。
終値と始値、どこで買うのが一番良かった?
もう1歩進めます。
上のグラフは「最終日の終値」と「権利落ち日の始値」を見たものでした。
しかし前述した通り、4パターンの買い方売り方があります。そこで4パターンのうちどれが一番リターンの多い取引だったかを見ていきます。
結果は次の通り。
さすがに4つもグラフを出して比較するのは逆に分かりにくいため、ここは数字だけご紹介します。
組み合わせ | 総合利回りを加味した 51銘柄の騰落率の相加平均 |
---|---|
終値-始値 | +1.74 % |
終値-終値 | +2.96% |
始値-始値 | +2.49% |
始値-終値 | +3.72% |
数字として出して見ると明らかです。
結論:「権利付き最終日の始値」-「権利落ち日の終値」の組み合わせが一番リターンが良かった
つまり一番長く株を所有した組み合わせのほうがリターンが良かったという事になりました。
この結果は2024年9月と同じ結果になりました。
ここで大事なことは2点。
ということです。
衝撃的な結果ではないでしょうか。
配当落ちを跨ぐのがこわい場合 最終日と落ち日だけで取引する手法
以上の検証から、何とも信じられない結果が出てしまいました。損をするのが難しい状態でした。
しかしですね。
やはり権利付き最終日から権利落ち日まで銘柄を持ち越すのは怖いよ
と。
そこで考えました。
「権利付き最終日だけ」「権利落ち日だけ」で取引する手法はどうだろうと。
つまりですね。
というような浅はかな考えに基づく取引手法です。
これは何も私が考えただけではなく昔からよく言われている手法の一つです。
これを検証してみましょう。
検証しましょうといっても全ては最初に載せた画像に乗っています。ここではその部分だけ抜粋します。
上の画像は
・左が権利付き最終日の始値で100株を買い、終値で売った場合の損益。
・右が権利落ち日の始値で100株を買い、終値で売った場合の損益。
を表しています。
まあ各銘柄でプラスになるものもあればマイナスになるものもあるのですが、全銘柄の平均を取ると両者ともプラスです。
権利付き最終日なら1銘柄あたり2,561円。権利落ち日なら1銘柄あたり3,927円の利益が出ることが分かります。
2024年9月の結果では権利付き最終日のほうが結果が良かったのですが、2024年12月は権利落ち日のほうが1.5倍ほど良い結果になりました。
51銘柄中、引けにかけて値下がりしたのは
権利付き最終日→8銘柄。84%の成功率
権利落ち日→6銘柄。88%の成功率
となりました。2024年9月が82%の成功率だったのでほぼ同じ。この手法はかなりの高確率で利益が出たという事になります。
こ、こんな馬鹿ニャ……
こんなことが許されていいのか……
権利落ち日の値動きは予想しにくいので注意
注意点としては、権利落ち日の値動きは少々読みにくい点があります。本日2024年12月27日(金)の権利落ち日の値動きを、いくつかの銘柄を例に出してご紹介します。
ケーキでおなじみ不二家(2211)の場合だと、寄付きが一番株価が高く、後は底値圏に沈み続けています。典型的な寄り天と言った様相。
サッポロホールディングス(2501)の場合だと、不二家とは逆で完全な寄り底です。
寄付きでは前日終値よりも下がっていますがその後ガンガン ズンズン グイグイ 上昇して、終値では前日比+117円で引けました。寄り付きで売った人は台パンものでした。
ビーグリー(3981)の例では、寄付きはほぼ前日比プラマイ0でしたが、後場から急に下げ始めて結局前日比140円で引けました。-7.63%の猛烈な下げでした。寄り付きで売った人はほっと一安心。
このように権利落ち日の値動きは予想不可能です。権利付き最終日のほうが手堅いというのは数字からも分かるかと思います。
結論:どうやってもかなり利益が出たという結果に
ここまでをまとめます。
という信じがたい結果になりました。
(ちなみにこの記事では税金は考慮していません。実際には20.315%の重税が課されます)
以上。今回はここまでにします。
今回は資産運用のお話でした。「配当落ちで株価は本当に下がるのか?」という素朴な疑問を検証してみたわけですが、結論としては信じられない結果となりました。
あくまで2024年9月と12月のみの結果という事ですが、私の予想をはるかに上回る高いリターンを叩きだしていて、正直かなりびっくりしました。
繰り返しますがこれは勧誘その他ではありません。あくまで1つの厳然たる事実として、皆様の何かの参考になれば幸いでございます。
それではまた。ご覧いただきありがとうございました!
黙って買っておけば山ほどちゅ~るが買えたのにニャ
何をやってるニャ
いやそう思って12月は買ってみたけどさぁ……←(-5.0%の下落を喰らった人)
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