こんにちは、ハルです。
今回は資産運用のお話です。
今回はタイトルの通りですが
「配当・優待落ちで配当分の株価下落は本当に起こるのか?」
という誰しもが一度は考える素朴な疑問を実際に検証してみた、という記事になります。
なおこの記事は最低限、資産運用に関しての知識がある方向けに書いています。本当に右も左も分からないという方向けではありませんので申し訳ございませんがご了承ください。
2024年9月の配当落ちについて書いた以前の記事(↑)の、2025年1月版の記事です。
基礎的な説明事項は上の記事で行っているのでそちらをご覧ください。
権利付き最終日→権利落ち日の騰落率を検証
検証には実際の株価のデータを使います。
と言っても何か証券会社の高度なソフトやスクリーニングツールを使ったわけではなく、権利付き最終日と権利落ち日の実際の株価を私がチェックしてぽちぽち手打ちしただけです。平気で誤植がある場合がございます。先に謝っておきます。
さて、結果一覧がこちら!!!
これから私が述べることはすべてこの表に書いてあります。
そのため知識のある方はこの表を見ただけで私の言いたいことをすべて完璧に理解して下さると思いますが、
一応、散布図などを使って分かりやすくご説明したいと思います。
ちなみにこの表に出てきている銘柄に一体どういう共通点があるか、勘のいいひとは気付くはずニャ……
君のような勘のいいネコは嫌いだよ
一応表の見方のご説明と記事の主題
さすがに表が細かすぎて見ずらいので表の見方の例をご紹介します。
ここでは例として皆さんお馴染み日本航空JAL(9201)の例をご紹介します。繰り返しになりますが表中の各項目の説明は前回の記事をご覧ください。
JALの例だと、最終日終値が2,539円。落ち日始値が2,524円。15円の下落は最終日終値ベースで-0.59%の騰落率になります。((2539-2524)/2539=0.00590)
優待と配当の利回りを考慮した騰落率である総合利回り騰落率は、例えばJALの例だと優待利回りが0.39%、配当利回りが1.58%なので総合利回りは1.97%。
で、終値-始値の騰落率は-0.59%ですが、総合利回りは1.97%なので、株価の値動きと利回りを総合した騰落率は+1.38%となります。
あれ?プラス、ニャ……
お気づきになられましたか
この「総合利回りを加味した騰落率」が本当にマイナスになるのか?という点の検証が、この記事の主題です。ちなみにJALの場合だと、前述の通りプラスになります。
つまり最終日の引けで買って権利落ち日の寄り付きで売るだけで1晩寝ているだけでお金が1.38%増えた、と言うことを意味します。こんなことが許されていいのか!
まずはざっくり全銘柄をグラフで概観
上で述べたような計算を全銘柄で行った結果の表は上に乗せた通りですが、さすがに文字と数字だけでは見にくいのでまずはざっくり、グラフを使って概観をご紹介します。
上の散布図は今回検証した15銘柄の最終日終値-権利落ち日始値の株価の騰落率を示したものです。
横軸は証券コードなので深い意味はありません。
縦軸が騰落率です。上のほうにあるのが0%。0%という事は、終値と始値で差が無かったという事です。
y値が正の値になっている銘柄は配当落ちで値上がりした銘柄。y値が負の値になっている銘柄は配当落ちで値下がりした銘柄ということになります。
まずはざっとグラフを見て貰うと分かる通り、すべての銘柄でy値がマイナスです。
つまり配当落ちで株価が下がったという事です。それも、恐ろしい勢いで下がっています。
2024年9月確定日の銘柄で同じ事を検証した際は権利落ちを跨いでもなお値上がりした銘柄が結構多かったのですが、今回は信じられないくらい厳しい結果になりました。
当日の日経平均は+100円ほどの値上がりだったにも拘らず、これらの銘柄は惨憺たる状況です。
ちなみに最も騰落率が良かったのはダイドーグループ(2590)で、前日比-0.31%の下落でした。一番良いのでも下落しています。
最も悪かったのはストレージ王(2997)の前日比-17.53%の超絶下落でした。ひでえ。
ちなみに、ストレージ王(2997)は配当はゼロですが、株主優待としてクオカード3,000円分を貰えます。しかし3,000円のクオカードを貰おうとして17,530円の差損を喰らうという完全な優待ホイホイ状態。やっぱ名前が胡散臭い銘柄はダメですね……。
さて。もう一歩先に進めてみましょう。
今回は権利落ちで値下がりする銘柄しかなかったけれども、
「では優待と配当を加味した場合、どうなる?」
というお話です。
優待と配当の利回りを加味した配当落ちの考察
さて、ここで大事なことがあります。
配当落ちしたという事は「株主優待と配当金を貰う権利もゲットできた」という衝撃の事実です。
つまりですよ。寝て起きただけで値上がりしたのでお金が増えただけでなく(今回は全滅でしたが) 優待と配当金までゲットできると。こんなことが許されていいのか!!
この項では優待と配当金を加味した総合利回りを考慮した配当落ち騰落率を検証していきます。
結果がこちら!!
先ほどの散布図と見比べて貰うと、わずかにプラス圏に浮き出てきている銘柄が出てきました。
今回検証した15銘柄中、マイナス圏に沈んだのは9銘柄で、4銘柄は1晩寝て起きただけで利益が出たと判明しました。利益が出る確率、27%です。これはひどい。
今月はめちゃくちゃ結果悪いなー
ちなみに一番悪い結果になったのは前述したストレージ王の-14.90%でした。3,000円のクオカードでは到底穴埋めできない大損害が発生しました。
逆に一番良い結果になったのは、表にあるものではストリーム(3071)の+1.77%ということになりました。ストリームも前日比-9.73%のナイアガラ状態ですが、株価113円で1,000円の優待券を貰えて総合利回りが11.50%になっているので、ある程度下落幅をカバーできています。ただし自社優待券なので注意。
ちなみに突き抜けてしまったので表には載せていませんが、
ジェリービーンズグループ(3070)の総合利回り騰落率は+74.05%でした。
これは株価131円なのに10,000円相当(2,500円相当のクーポン4枚)のクーポン券をもらえて優待利回りが+76.34%と凄いことになっているのが原因ですが、あくまで自社サイトでしか使えないのと、「※クーポンの利用はご購入価格の50%を上限とする。」という罠があるので話半分に聞いておくべき数字です。
その他、興味深い数字として、総合利回りを加味した騰落率が±0.00%になった銘柄が2銘柄ありました。つまり配当と優待が落ちたちょうどその分だけ株価が下落したということで、まさに理論通りの値動きをした結果になっています。(実際は税金分で損が出ます)
終値と始値、どこで買うのが一番良かった?
もう1歩進めます。
上のグラフは「最終日の終値」と「権利落ち日の始値」を見たものでした。
しかし前述した通り、4パターンの買い方売り方があります。そこで4パターンのうちどれが一番リターンの多い取引だったかを見ていきます。
結果は次の通り。
なお前述したジェリービーンズグループ(3070)に関しては1つだけ数字が飛び出ていて平均プールを汚染するため、数字を除外しています。
さすがに4つもグラフを出して比較するのは逆に分かりにくいため、ここは数字だけご紹介します。
組み合わせ | 総合利回りを加味した 14銘柄の騰落率の相加平均 |
---|---|
終値-始値 | -3.22% |
終値-終値 | -3.11% |
始値-始値 | -3.25% |
始値-終値 | -3.13% |
数字として出して見ると明らかです。
結論:全部等しくひどい。
2024年9月と12月とは明らかに異なる結果と結果になりました。
2024年12月などは、優待と配当を一切考慮しない状態でも利益が出るようなわけがわからないよ状態だったのですが、2025年1月は酷い状態になっています。
配当落ちを跨ぐのがこわい場合 最終日と落ち日だけで取引する手法
以上の検証から、何とも残念な結果が出てしまいました。
しかしですね。
やはり権利付き最終日から権利落ち日まで銘柄を持ち越すのは怖いよ
と。
そこで考えました。
「権利付き最終日だけ」「権利落ち日だけ」で取引する手法はどうだろうと。
つまりですね。
というような浅はかな考えに基づく取引手法です。
これは何も私が考えただけではなく昔からよく言われている手法の一つです。
これを検証してみましょう。
検証しましょうといっても全ては最初に載せた画像に乗っています。ここではその部分だけ抜粋します。
上の画像は
・左が権利付き最終日の始値で100株を買い、終値で売った場合の損益。
・右が権利落ち日の始値で100株を買い、終値で売った場合の損益。
を表しています。
まあ各銘柄でプラスになるものもあればマイナスになるものもあるのですが、権利付き最終日は平均-700円の損失、権利落ち日は平均+1,560円の利益となりました。
しかしこの数字は、-19,500円も下がった丸千代山岡家(3399)と+17,500円も上がったダイドーグループ(2590)の影響が大きいです。
参考としてこの2つを除いた場合は、権利付き最終日が+643円の利益、権利落ち日が+421円の利益となって、両者ともわずかながら利益を確保することが出来るという結果になりました。
15銘柄中、引けにかけて値下がりしたのは
権利付き最終日→8銘柄。53%の成功率
権利落ち日→8銘柄。53%の成功率
となりました。2024年9月・12月ともに80%以上の成功率だったので、こちらも今回はかなり厳しい結果になりました。
今月は一体何があったのかニャ?
ちょっとひどすぎる結果ですね……
権利落ち日の値動きは予想しにくいので注意
注意点としては、権利落ち日の値動きは少々読みにくい点があります。本日2025年1月30日(木)の権利落ち日の値動きを、いくつかの銘柄を例に出してご紹介します。
先ほどもご紹介したストレージ王(2997)は、寄りでしぬほど下がったのち少しだけ戻しましたがいずれにしても-15%を越えるようなひどいナイアガラ状態で底値をウロウロしています。救いはありません。
ミサワ(3169)も寄り付きでかなり下がったのち底値をウロウロした挙句、引けでさらに垂直落下しています。
最近東証の取引時間が30分延伸されて、最後の5分はインチキ闇鍋タイムが導入されましたが、その闇鍋タイムのせいでさらに状況が悪化したような格好になっています。
一人気を吐いているのが丸千代山岡家(3399)で、引けで前日終値まで値を戻しました。ただしこの銘柄、前日の権利付き最終日に4,160から3,965まで垂直落下しました。100株でも2万円近い損害です。
このように権利落ち日の値動きは予想不可能です。権利付き最終日のほうが手堅いというのは数字からも分かるかと思います。
結論:今月はどうやっても損失が膨らむ恐ろしい月だった
ここまでをまとめます。
という結果になりました。
(ちなみにこの記事では税金は考慮していません。実際には20.315%の重税が課されます)
以上。今回はここまでにします。
今回は資産運用のお話でした。「配当落ちで株価は本当に下がるのか?」という素朴な疑問を検証してみたわけですが、結論としては今月はかなりしんどい結果になりました。
2024年9月と12月の結果が信じられないほどボロ儲けという結果になり、これは実は鉄板の投資方法なのでは?と調子に乗っていましたが、今月は凄まじく悪い結果になりました。実際に配当落ち投資等を試した場合はとんでもないことになっていたでしょう。
繰り返しますがこれは勧誘その他ではありません。あくまで1つの厳然たる事実として、皆様の何かの参考になれば幸いでございます。
それではまた。ご覧いただきありがとうございました!
やっぱり個別株は恐ろしいニャ……ノラの好きなちゅ~るを作ってる会社も実は……だったニャ
米株のインデックスだけ買っておけばええんや……
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