こんにちは、ハルです。
今回はゲームに関する記事です。
今回は大人気(諸説あり)MMO(諸説あり)RPGゲームであったブループロトコルに関する記事です。
前回の記事の続きです。(↓)
前回の記事から時間がかなり空きまして、申し訳ございません。
もう皆様、ブループロトコルのことなどすっかり忘れてそれぞれの日常を過ごしておられることだと思います。
私としては、サ終当日~翌日に感じた何とも言えない喪失感と虚無感は時間の流れで薄まってきたことは事実ですが、若干まだ引きずっております。この記事を書いている途中でも改めて思い出が蘇ってきて、もうあの世界は存在しないのかと、しんどくなってきました。
さて前回の記事では、私が実際にブループロトコルをプレイしてみて高評価だった点などをご紹介しました。結論としてはグラフィックが神、音楽が優秀、その他も及第点ということで、何かと辛口評価になりがちな私としては意外なほど高評価をしております。
続きとなる今回の記事では、そんな高評価のブループロトコルが「なぜ短期サ終に追い込まれたのか」という理由と、どうすれば良かったかなどについて私なりの考えを述べたいと思います。
なお以前の記事を読んで下さった方はご承知のことだと思いますが、私はブルプロ歴2週間のド素人です。ソロでストーリーのラスボスを撃破したので最低限はゲームについて分かっているつもりですが、本当に最低限だけです。何ならほぼエアプ状態です。プレイ時間は70時間か80時間か…そのくらいだと思います。
やったことも無いコンテンツを偉そうに批評するのは避けねばならないのでプレイ自体は行いましたが、サ終直前しかプレイしていないので、サービス開始当時のバグだらけのあれやこれやは全く経験しておりません。
熟練プレイヤーの皆様的には「ド素人が的外れなことをぬかしおる」とお感じでしょうが、生暖かい目で見て頂ければ幸いです。
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BLUE PROTOCOL
©2019 Bandai Namco Online Inc. ©2019 Bandai Namco Studios Inc.
はじめに:間違いなく需要はあった&バンナムは大金脈を逃した
これは間違いのない事実だと思うのですが、ブループロトコルは国産MMORPGとしてかなりの注目を集めました。間違いなく需要はありました。
例えば、ブループロトコル運営チームからのお知らせによると、2023年6月14日のサービス開始からわずか1週間で「累計プレイヤー数60万人&最大同時接続プレイヤー数20万人以上突破」という偉業を達成しました。

また、7か月後の2024年1月24日には「累計プレイヤー数100万人」突破。
100万人ですよ。初動はロケットスタートと言って良い、凄まじい数字だと思います。
私の認識が正しければですが、ブルプロは海外でのサービスは行っていない(行う予定だったけどその前にサ終した(´・ω・`))なので、この数字は純日本プレイヤーだけの数字のはず。単純計算で日本人の1%弱がブルプロプレイヤーということで、新規IPとして素晴らしい数字だと思います。
しかし現実はわずか1年半のサ終。
つまりこれは、サ開後の運営の大失敗に他なりません。
木っ端ソシャゲでよくある「サ開したが鳴かず飛ばずで埋もれて消える」というありがちな末路ではなく、「ロケットスタートした上で」「大失敗してユーザーに見放されて」「短期サ終した」という、余計に救いようがない結末になってしまいました。
バンナムは大金脈を逃したことになります。本当にもったいないし、運営とマーケティングの大失敗の典型例として歴史に残るレベルだと思います。
なぜ短期サ終に追い込まれたか:要するにお金を稼げなかったからだが…
ではここからは「なぜ短期サ終に追い込まれたか」という理由を見ていきます。
何故と言っても結論は一つしかなく
「要するにお金を稼げなかった」
というのが理由のすべてではあります。
一歩進めて「お金を稼げなかった理由」を見る前に、まずはゲーム運営にどのくらいお金がかかるのかを考えてみます。
ゲーム運営に毎月必要な費用を稼げなかった:サーバー代や人件費など
ゲーム運営にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。(なお私は会社経営とは全く縁がないただの理系研究者のため、完全にエアプです。あんまりいじめないでください)
まず一番最初に思いつく「サーバー代」です。
ゲーム運営に要するサーバー代に関しては、偽りのアリスというソシャゲの例が参考になると思います。

このゲーム、なんとゲーム内に「サーバー代カウンター」と「何かのカウンター」を実装するという草の生える暴挙をやらかしました。
何かのカウンターとぼかしてはいますが、どう考えてもユーザーの課金額のカウンターです。
つまり毎月の課金額がサーバー代を上回っている限りサービスを継続するという、斬新と言うかなんというか……。
しかし通常は知ることのできないゲーム運営に要するサーバー代を丸裸にして公開してくれているので、非常にためになります。
ちなみに2023年8月のサーバ維持費は月額195万6331円だそうです。参考になる数字です。
この200万弱と言う数字は、私の想定よりもかなり大きい数字だなと感じました。
余談にはなりますが、私の「ハルの旅行記」という木っ端ブログも、ConoHa WING(木っ端だけに)というレンタルサーバーを借りて運営しています。もちろん個人用の小規模サーバーとゲーム用サーバーでは規模が全然違うけれども、仕組みとしては同じです。
で、私のブログ場合、毎月のサーバー代はわずか643円。同じくConoHaの一番高性能なレンタルサーバーでも月額18,000円ほど。
それに比べて、失礼ながら弱小ソシャゲにも拘らず、月額200万という数字はかなり高額だなと感じました。
ここで本題に戻ってブループロトコルの場合を考えると、数万人以上のプレイヤーが同時に世界に存在するMMORPGであり、グラフィックも通信量も、ソシャゲの比ではないくらい大規模なものだと思います。
サーバー代だけで普通にウン千万円・1億円以上、というような世界だと思います。
続いて運営チームの人件費。
ゲームはデジタルものなので材料費などはあまりかからず、ほとんど開発費=人件費だと思います。光熱費や土地代などは面倒なので考えません。
さてプロジェクトスカイブルーのブルプロ運営チームが一体何人編成なのかは全く情報がありませんが、ゲームプランナーの方のnoteにPS4やSwitchの大型タイトルだと50人くらいという情報がありました。
ちなみにバンダイナムコオンラインの社員数は2024年3月時点で252人という事なので、さすがにブルプロだけで100人ということは無さそう。やはり50人程度なのかなとも思います。
仮に50人だとすると、月給(事務職などの維持費等もろもろ込み)100万×50人×1か月で、人件費だけで毎月5,000万です。
先ほど述べた毎月のサーバー代を仮にお安く見積もって5,000万だとしても、必要なランニングコストだけで毎月1億円かかってしまいます。完全にエアプの机上の空論なので、実際はもっとかかっているでしょう。
ブルプロが査収したという事は、この毎月必要な1億円をブルプロの利益で賄えなかった。つまり運営しても赤字が増えていくだけ、という事だったのだと思います。わずかでも利益が出ているなら細々運営していく手もあったはずですし。
開発費かけすぎ&開発期間長すぎ:貸借対照表
ブループロトコルはプロトタイプに3年、開発に5年で合計8年以上とも呼ばれる開発期間を経て生み出された難産でした。
開発期間中は、上に述べた人件費や固定費などがかかり続ける一方で、利益は1円も発生しない状態です。そのせいで開発費が恐ろしいほど膨らみ、開発費だけで100億円かかった、などという情報がネット上で囁かれています。
「100億円もかかるわけないだろソースはどこだよ」と思われるかも知れませんが、上に述べた通り人件費だけで1か月に5,000万かかります。
単純に、5,000万/月*12月*8年で、48億円になります。
しかもこれは少なく見積もった金額です。そこに広告費や各種経費がかかってくるので、100億円という数字はあながち的外れというものでもなさそう。それくらい年月経過に伴う人件費の負担は重たい。
参考に、バンダイナムコオンラインの決算公告を確認してみましょう。
上の画像はバンダイナムコオンラインの2023年・2024年の貸借対照表です。いわゆるバランスシートと呼ばれる、企業の資産状況を表す決算書です。
まあ細かい数字が色々と書いてありますが、参考になるのはオレンジ枠で示した「仕掛品」の項目かと思います。
仕掛品(しかかりひん)とは文字通り「しかかっている=やりかけ」ということで、まだ完成しておらず販売できない状態の製品のことを指します。ゲーム制作に投入した原材料費・人件費(労務費)・減価償却費などは、この仕掛品にまとめて計上されます。
素人考えではこれら費用は必要経費なので負債に入るようにも思うのですが、「将来的に利益を生み出すもの」として資産の項目に入れることになっています。
さて改めて2023年と2024年の仕掛品の数字を比べて見ると、以下のようになります。
2023年 | → | 2024年 | |
仕掛品 | 13,664,035,000 (136億円) | → | 478,062,000 (4.8億円) |
2023年から2024年になり、仕掛品が131億円も減っています。
これが意味するところは2023年に完成したゲーム、つまりブループロトコルをリリースしたことで、製造途中だった仕掛品の金額が解放されたということ。
つまりこの数字だけを見ると、ブループロトコルの開発費は131億円ということになりますが……額面通りに受け取っていいのかは私には何とも判断しかねます。
まあ開発費100億という数字は結構信憑性がありそうな数字だと言えるかなと思います。
ちなみにさらに過去に遡って仕掛品の金額を確認すると
2012年:7億
2013年:7億
2014年:2.3億 (4.7億はガンオン分?)
2015年:9億 (アイナナリリース)
2016年:10億
2017年:24億
2018年:33億
2019年:26億 BLUE PROTOCOL CaT (7億はグラフィティスマッシュ分?)
2020年:65億 BLUE PROTOCOL CβT
2021年:100億
2022年:143億
2023年:136億 BLUE PROTOCOLリリース (9億はガンエボ分?)
2024年:4.8億
となっており、2017年ごろから仕掛品の金額が急増していることが分かります。この頃からブループロトコルの構想・開発が始まっていたと思われます。(ちょうど7~8年前だわ……)
財務諸表の把握の仕方を誤っていたら指摘してください。有識者カモン……。
ここまでのまとめ:ブループロトコルが助かる道は最初からほとんどなかった
さて前の項目では、ブループロトコルの開発費が100億円近い、もしかしたらそれ以上、というお話をしました。
たとえ100億円のマイナススタートでも、毎月1億円でも利益を上げ続ければ100か月でトントン……みたいな皮算用をしがちですが、実際にはこの100億円はどこかから引っ張ってきたお金であり、例えば金融機関からの融資金であったのなら利息金が生じます。
法人融資の金利相場は1~3%くらいが目安と言われていますが、1%でも年間1億円です。
親会社のバンナムからガメてきたお金なら利払い金は必要ないかも知れませんが、そのしわ寄せは結局どこかで引き受けなければなりません。これもあったのか、結局バンナムオンラインは親会社に吸収合併されて2025年4月に消滅することになりました。
しかも先にふれたように、(推定)毎月1億円のランニングコストがかかります。
私はこの記事の最初で「サ開後の運営の大失敗」と言いました。しかし改めてお金に関する内容を鑑みると
「サービス開始の段階で、ブループロトコルが助かる道はほとんどなかった」
と言わざるを得ません。
大ヒットして毎月コンスタントに5億円以上の利益を生み出せる状況になれば生き残る可能性もありましたが、なにしろ8年以上の開発期間で生じた膨大な開発費の負担が重すぎます。
利払い金とランニングコストだけでいっぱいいっぱい、100億の赤字を回収する見込みは絶望的。
つまり構想・開発に8年かけた時点で負け確定だったわけであります。リリース時点で爆死する運命は決まっていた。現実は非情である。
以上が「ブループロトコルはなぜ短期サ終に追い込まれたのか」のお金に関する考察です。
なんのことはない、最初から助かるルートなんてなかったという、どうあがいても絶望の未来でした。あっ滅びの未来を回避するってそういう……
追記:余談 FF14の利益
追記です。
ブループロトコルと何かと比較されることのあるスクエニのFF14について、一体どのくらいの利益を上げているか気になったので追記します。
「ファイナルファンタジーXIV」を含むMMO事業は、売上⾼125億円(前期比+15億円)、営業利益66億円(前期比+22億円)と好調で営業利益に大きく貢献。
スクウェア・エニックス、「FF14」含むMMO事業は売上⾼125億円と前期+15億で好調。営業利益に大きく貢献
……なんと。大変驚きました。営業利益66億円です。これ四半期ですよ。年間なら264億円!!!!!!!!
うん、格が違う。ブルプロなど足元にも及ばない超ビッグタイトルです。
しかしこの数字を見ると

100億の赤字など叩き返せる
もう何も怖くない……!
と錯覚してしまうのも無理はないかも知れませんねえ……。
ということで今回はここまでにします。
今回は主にお金に関する観点から、「ブループロトコルはなぜ短期サ終に追い込まれたのか」について(素人目線で)考えてきました。
ただし「毎月コンスタントに5億円以上の利益を生み出せる状況」であればブループロトコルが助かった世界線もあったかも知れません。
次の記事では主にゲームの展開や運営の面で、どうすればブループロトコルが生き残る可能性があったのか、という点を考えていきます。
それではまた。ご覧いただきありがとうございました!
くそっ何度繰り返してもブループロトコルが爆死してしまう……
コメント
お金の話をすると過去にも多額の開発費を掛けたゲームありましたが、最初は月額制が多かったですよね。これもそうしてればある程度は続いたかなと思いますね。
まぁそもそもゲーム完成度が悪いので、少ししか変わらないと思いますが。
匿名さん
コメントありがとうございます。
そうなんですよね!月額制という選択肢もあったと思います。
この記事の続きを書いていて「月額制はどうか?」みたいなことを考えているのですが、まあ普通に「有料ならプレイしない」となって初動でズっこけて閑古鳥が鳴く状況になったようにも思います。やっぱりゲーム本体のクオリティが一番ですよね
単純にゲームとして面白くなかっただけやで…
コメントありがとうございます。
私は面白かったしすごく気に入ったんですよーーー!!この超画質クオリティで無料で遊べるのは本当にすごいと感動したものです。まあ面白くなかったからサ終したというのは間違いないのですが(´・ω・`)
ファイナルファンタジーⅩⅣは遊ぶだけでも30日単位で課金しないとログイン自体出来ないので多分収益の入り方が大分違うと思います
コメントありがとうございます。
そうなんですよね、FF14は月額制なので毎月決まったお金が入ってくるのはデカい!
しかもゲーム本体を買うためのお金も必要だし、冷静に考えるとかなり強気な態度ですよね。それで成功してるからすごいです
FF14はサブスプリクションなのも大きいですね
8年遊ばせて貰いました
プレイヤー数に応じて確実に毎月入る金額
その他有料衣装やマウントも有るけど強さには影響しない、でも今後作られるMMOゲームでサブスプリクションでこれほどの成功例は出来ない気がします
そもそも国内企業だと挑戦すら出来ない
国内産MMOで大成功するゲームは今後現れるのかなぁ
コメントありがとうございます。
おっしゃるようにFF14は月額制なのが大きいですよね。上にも書きましたがさらにゲーム本体の購入費も稼げるし、数年に1回バージョンアップされてそこでもお金を稼げるんですよね?なんという強欲……!!
これはFFブランド・FF11から続くMMOブランドの賜物だと思うので、同じ事をブループロトコルでやったところで相手にもされなかったでしょうし何とも難しいところです。
それにFF14は実は海外ですごく人気みたいで、海外勢からのお金も凄いみたいですね。やはり日本国内だけでは限界があったか……(´・ω・`)
国内産MMOで成功するゲームが今後現れるかどうかというお話ですが、個人的にはMMOに興味はあるのですが、もうMMOというジャンル自体が衰退していてなかなか厳しそうですよね。
MMOの一番のウリって他のプレイヤーと一緒に遊べる事だと思いますが、もうそれも当たり前の時代ですし、SNSでいくらでも他人と交流できるようになったし、長時間拘束されるMMOはもう………。フルダイブ型に期待しましょう。フルダイブ出来るようになったらゲーム本体が100万でも飛ぶように売れると思います。